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田舎で見つけた「隠れ家」食品サンプル教室

こんにちは。
田上町たがみまち 地域おこし協力隊のヤマグチです。

定食屋さんや喫茶店など、ちょっと懐かしい感じのお店だと今も見かける「食品サンプル」

最近はテレビで特集が組まれたり、ガチャガチャの景品になるなど、認知度としてはかなり高いのではないでしょうか。

店の前を通るお客を誘惑するサンプルたち

そんな食品サンプルも、実際に作ったことがある人となるとかなり限られるはずです。ヤマグチの体感では100人集めて「作ったことあります?」と聞いて回っても1人いたらすごいなーくらいのイメージ。

しかし、
県内でも1番小さい"町"である我が田上町にはいらっしゃいました。

しかも、
食品サンプル教室を構えて。

出迎えてくれたのは、趣味から始まり今や年間1,000名以上の受講生を取るまでになった、「食品サンプル愛」に溢れる先生でした。


・・・

住所非公開の教室へ

「だったらメコしろスイーツってとこ行ってみなよ!」

「メコ……なんですかそれ?」

知り合いがやってる食品サンプルの教室。絶対おもしろいと思うよ。」

梅の収穫を取材中に突然教えてもらった食品サンプル教室の存在。
そんな面白そうな場所は逃すまいと、インスタ経由でメッセージを送り、早速取材のお約束。

「それでは○日の△時にお待ちしてますね」というメッセージと一緒に送られてきた画像には、住所と教室までの道順が。

そう、この教室、実は住所非公開

先生は常に教室にいるわけでなく、また場所も先生のご実家ということで、急な来客を防ぐための対応とのこと。

住所非公開……なんだかこれだけでも教室に行くテンションが少し上がる気がするのはヤマグチだけでしょうか?

訪問当日。

いただいた画像の案内に従って完璧な「民家」の一角に車を停めるヤマグチ。

「ここで合ってるよね?」と若干不安になりがら指定された通りに進むと、外階段の先にある扉を発見。恐る恐る階段をあがり、ノックがわりに「こんにちわー!」とひと声。

「はい、どうぞー!」と中から元気な声。安心して扉を開けると、笑顔で先生が出迎えて下さいました……がしかし目が行くのは棚という棚に置かれた食品サンプルたち!

初めましての挨拶もそこそこに「スゴいっすねー!」と色とりどりの食品サンプルに釘付け。そして先生は冷静に「ねー、まぁ座って下さい」と優しく誘導。
きっと初めて教室にくる人は、テンプレのように皆さんこんなリアクションしているんでしょうね。先生の対応も慣れたものです。

しかしこればっかりはしょうがない。面白いものは面白い。
キョロキョロが止まらないヤマグチも少し時間がたって冷静になったのか、出されたお茶に釣られたのか、ようやく椅子に腰かけ、お話を伺い始めました。

細かいところまで作り込みがすごい……


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年間受講生は1,000名以上(ワンオペ)

「地域おこし協力隊のヤマグチと申しますー」「フジイですー」と改めて名刺交換。

「こんな時期にすみませんでした!お忙しいところ時間いただきありがとうございます!」と謝罪も含めたヤマグチのお礼に「いや、いい息抜きになるから大丈夫よ」と笑顔で答えるフジイ先生。

ちらっと見えるホワイトボードのカレンダーには予定がビッシリ……
ヤマグチが伺ったのは7月。
世の中的に夏休みが始まるこの時期は、例年イベントも多く繁忙期にあたるそうです。イベント準備に追われる中、しっかり時間を取っていただき感謝しかありません……

「そもそもなんで食品サンプルなんですか?」

「子供ができて仕事を辞めて、時間ができたから最初は趣味で樹脂粘土を触りだして……」

どうやら「趣味がこうじてなんたら」の典型的なパターンのよう。しかしそれが食品サンプルに行きつくのはなかなかのレアケースです。

学生時代や前職に何かキッカケが?と思い、質問すると「前職はSE(システムエンジニア)」と予想外の回答。

「食品サンプル作りもエンジニアの時とやることはそんなに変わらないよー。手順を決めて、その通り作っていくだけだから」

これまた予想外のコメント。

フジイ先生、それはきっと、もともと才能あったんだと思います……

まるで生きているような目
近くで見ると生臭い気がします。気のせいですが
サンプルは全て本物から型取りをしているそう
高価な食材はヒヤヒヤですね……

そんな元SEフジイ先生の教室は大人気で、県内外のイベント参加者も合わせると、年間受講生は1,000名以上。
県外から田上町の教室にいらっしゃる方もいるそうなので、その人気ぶりがうかがえます。

そして何より驚くのはそれを全てお一人でこなしていること
本当に「好き」だからこそなせるワザです。

依頼先のお店もだませたという
温泉まんじゅう


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サンプル製作を見学【目玉焼き編】

「これ作るの時間かかりますよねー」とこれまたテンプレのような質問に「んーサンプル作るのはそんなにかからないんだけど型がねー」と言いながら見せてくれたのは食パンの型。

「これ作るのが大変なのよ。使える回数も限界があるし

ヤマグチはてっきり一度型を作れば何度でも使えると思っていましたが、それは間違いでした。
とくに細かな凹凸があるような食材だと使うたびに少しづつ表面が壊れていってしまうので、どの型も多くて10回前後が限界とのこと。

料理の場合は上手く型が取れるまで何度も作り直すことも多いそう
そもそも料理スキルがあること前提ですね……

「なにか作ってみましょうか?」と言うフジイ先生の言葉に、待ってましたとばかりに「いいんですか!?お願いします!」と即答するヤマグチ。

今回は手軽に作れる料理ということで「目玉焼き」を選択
大量の型が入っているであろう重たそうなケースから、すぐに目玉焼きの型が登場しました。

手際よく道具一式を取り出すと、専用の溶液に着色し始める先生

「黄色にもいろいろあるじゃないですかー」と言いながら色をまぜまぜ
あっという間に”これぞ黄身”という色が出来上がり
それを黄身の部分に流し込む


次に白身を作って
その上に流し込む

数分もすると固まりだした溶液は、かなり発熱していて持っていられないほどに。「そろそろいいかなー」と言って型から外すと、もうそれはまさしく「目玉焼き」でした

食べられない目玉焼きが誕生

「おー目玉焼きだ」と笑ってしまうヤマグチを他所に「じゃあ色を塗りまーす」と進める先生。

シロウトにはもう十分目玉焼きだと思うビジュアルでしたが、ここからがある意味本番です。

「端ってすこし焦げてるでしょ?」と言いながら取り出したのは筆と専用の絵の具。

「それそれ!」という色が一瞬で作られていく……
はじが焦げた!


さぁ完成!ではなく、まだまだクオリティを上げていきます……

少し濃い目の色を塗り重ねて……
焦げがさらにリアルに!


ついに完成!!ではなく、まだまだまだクオリティを上げていきます……

黄身のまわりの火が通っていない白身を再現
プロってこういうことなんですね

「はいこれでオッケー!あとはコショウふって、盛り付けて完成。コショウふる?」
そう言って渡してくれたのはなんと本物のコショウ
(コショウや鷹の爪など腐らないようなものは本物を使っているそう)

最後の仕上げをお手伝いし、ついに完成です!

完成!
色や形はもちろん、光の照り方も本物のそれです

「最近になってようやく混ぜる色がすぐに分かるようになってきた」と言う食品サンプル歴7年のフジイ先生。

シロウトが見るとすごく簡単そうに見えるほどスムーズな色塗りは、きっと何百、何千回と様々な食品で試行錯誤を重ねてきたことで身についた技術なんでしょうね……うーんかっこいい。


・・・

最後に

日頃からサンプルのことばかり考えているというフジイ先生は、おいしそうな食品やきれいな食材を見つけて「あれ作ってみたい!」と家族に言うたび「料理?サンプル?どっち?」と突っ込まれるそうです。

「好きこそものの上手なれ」という言葉を体現したような先生からは、自身のなかの「好き」や「楽しい」をとても大切にされていることが、ヒシヒシと伝わりました。

こういった魅力的な方たちにもっともっと出会えるよう、ヤマグチも日頃から自分が思う「面白そう!」アンテナを、しっかり張り続けようと思います。

・・・

今回は、田上町、そして新潟県内でも唯一の食品サンプル教室へお邪魔し、なかなか知る機会の少ない、貴重なお話を聞くことができました。引き続き、ヤマグチが得た田上町のモノ・コト・ヒトを少しづつ発信、共有していこうと思います。

もしお時間ありましたら他の記事や町のHP・SNSなども覗いて頂けたら幸いです。

田上町について、お時間を割いて下さりありがとうございました。
地域おこし協力隊のヤマグチがお届けしました。


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今後もnoteを通して、小さなまちの小さなお話をお届けできればと思います。


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