【ウメを推す】梅は松より下なの?松竹梅の順位付けにもの申したい
こんにちは。
田上町 地域おこし協力隊のヤマグチです。
地元が群馬のヤマグチですが、小さいころからよく食べていたお弁当があります。おそらく群馬では多くの人が一度は食べるお弁当だと思いますが、そのお店ではお弁当に3段階の価格設定があるんですよね。
それがおそらくヤマグチ少年にとって、初めての『松竹梅』との出会いだったと思います。
そして小さな頃から食べたことのあるのは一番安い『梅』のお弁当だけ(別に家庭がひもじいとかではないのでご心配なく)。それだけが原因ではありませんが、やはり物心ついた時から『梅=安い』というイメージは強いです。
「あれ?梅ってなんで安いの?順位が下なの?」
特にこのまちに移住してきてから、梅のことをたくさん知った、大人のヤマグチは甚だ疑問を感じています。
なので梅の良いとこ、たくさんお伝えしようと思います。
今回ヤマグチは、『梅』を推します。
推す前に:わが町の梅を紹介
梅といって真っ先に思い浮かぶのはやはり紀州、和歌山県だと思います。もちろん梅の生産量は和歌山が全国1位。約65%ものシェアを占めているそうです。
その中でも圧倒的な知名度を誇るのが和歌山県みなべ町が発祥といわれる品種『南高梅』。梅干しや梅酒、その他さまざまな加工品として全国で目にするこの品種は、皆さんも何かしらの形で一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。
梅の産地というと温かい地域をイメージする方も多いと思いますが、実はヤマグチが住むここ新潟県でも「藤五郎」と呼ばれる県特産の品種が存在します。そしてその藤五郎の枝変わり(突然変異)として生まれたのが田上町の特産品である『越の梅』です。
『越の梅』は一般的な梅よりも果実はやや小振りですが、種が小さく肉厚なので、梅干しや梅酒への加工品に最適な品種です。
町内や近隣の店舗には越の梅を使った多くの商品が年間を通じて販売され、毎年6月中旬ごろには収穫したての青梅も店頭に並びます。
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推しポイント①『やっぱり梅干しはウマいよね!』
”梅はその日の難逃れ”
小林聡美さん主演の映画『めがね』で初めて知ったこの言葉。
毎回おいしそうな食事風景が印象的なこの映画で、朝食に必ず添えられるのが『梅干し』です。ある日の朝食で宿のオーナーを演じる光石研さんが「梅はその日の難逃れ、って言ってね」と言いながらパクっと梅干しをほおばるシーンがあり、「そうなんだー」となんだか無性に納得した記憶があります。
実際に梅干しには疲労回復や夏バテ、食欲増進や殺菌作用など様々な効果があるそうです。たしかにちょっとした難はすぐに逃れそう。
身体によいことを表すことわざとしても古くから言い伝えられる『梅干し』
梅の食べ方、楽しみ方は様々で、梅酒や梅シロップももちろんおいしいと思いますが、やっぱり不動のトップは梅干しではないでしょうか(異議は認めます)。
まちの特産品に触れる機会が多い協力隊という仕事柄もありますが、田上町に移住をしてから本当に梅干しを食べる機会が増えました。
そして田上の梅干しは言うなれば『THE・梅干し』
しょっぱい、酸っぱい、遊びのない昔ながらの梅干しです。
「かつお?はちみつ?そんなの邪道!」
……と言われたことは一切ないですが、お店に並ぶ田上産の梅干しを見ると、そんな強い意志を感じてしまうほどにどれもまっすぐな梅干したちで棚が埋まっています。
酸っぱいのが苦手……という方には興味のない話で申し訳ないですが、もちろん個人的にはこれが大好き。めちゃくちゃウマいです。
1粒でご飯1杯は余裕です。というか足りません。そう、足りないんです!
前にも書いた通り、田上の梅『越の梅』は比較的小振りな品種。しかし種が小さいため見た目以上に果肉が多く、「1粒でこれぐらい白米いけるな」の一般的なイメージを1段階飛び越えていきます。
メインのおかずに田上の梅干しを付けてしまうと、それはご飯2杯確定コースへ進むことになりますので、お気を付けください。ヤマグチも何度もこれをくらいました。おなか一杯でツラくてもおいしいので食べちゃうんですよね……
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皆さんの口の中のよだれがいい感じに増えてきたところで、せっかくなので梅の収穫から選別、仕込みの様子を一部ですが写真でサクッとご紹介します。
【6月下旬】収穫・選別
越の梅は皮が薄く傷付きやすいため、1粒1粒ずつ手摘みで収穫されます。お邪魔した農家さんでは家族総出で10日間かけて約2トンを収穫するとのことでした。雨や夜露でびしょびしょになるのよねーと笑顔で話す農家の皆さん……みんなの食卓を守ってくれている農家さんには本当に感謝しかありません。
収穫した梅は専用の機械を使ってサイズ毎に分けながら選別していきます。青梅として出荷される分はここで箱詰めされて出荷。コロコロと転がる梅が選別されていく様子は眺めているだけでも中々に楽しかったです。
【7月下旬】天日干し
梅雨のあいだ塩で漬けた梅を、梅雨明け後、晴れが3日間ほど続く日を狙って天日干しします。天日干しが終わった梅はシソと一緒に更に漬けて、10月頃からようやく味が整ってくるそうです。
実際に現場で作業の様子を見学すると、本当に手作業、手作業、手作業の連続で驚きました。スーパーなどに売っている梅干しと比べると、比較的割高な部類に入る田上の梅干しですが、この手間暇とあのおいしさならば納得です。
どうでしょう。これだけ梅干しの話をすれば梅を推す理由が少しは伝わったでしょうか?
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推しポイント②『ちゃんと見て!梅の花ってキレイだよ』
梅は食べるだけじゃありません。それでは梅の魅力のまだ半分。折り返しです。
目でも楽しめるのが梅の良いところ!
「春の花といえば?」と聞けば日本国民の十中八九が「さくら!」と答えると思いますが、その半歩先に春の訪れを教えてくれるのが『梅の花』です。
越の梅が特産の田上町にはもちろん梅の花を楽しめる場所があります。その名も『梅林公園』。
どストレートな名前のおかげでどんな公園かは予想がつくかと思いますが、ご想像の通り公園内には多くの梅の木が植栽されており、毎年3月上旬から中旬ごろには白梅や紅梅、枝垂れ梅など様々な梅の花を楽しむことができます。そして公園周辺には農家さんが収穫を行う実際の梅畑も隣接しており、全盛期は2,000本はあったというこの梅畑が特徴かつ見どころになっています。
「ちゃんと見て!」とサブタイトルに書きましたが、もちろん梅の花を見に来てくださる方も毎年たくさんいらっしゃいます。開花中に開催される『田上うめまつり』では多くの観光客で梅畑がいっぱいに。週末にはお弁当を広げてお花見を楽しむ姿も見られます。
また数年前からは道の駅が中心となって『梅のお花見弁当』も販売しており、売り切れ御免の大好評です。2024年の今年は節目を祝う『梅の花おせち』をつくることになりました。また新たな推しポイントが増えそうで今から楽しみです。
寒い冬を耐えて赤や白、ピンクの色の花を咲かせる梅の花を見ると「今年も始まるぞー」という気持ちになるのはヤマグチだけでしょうか。新潟という土地柄、雪景色がなくなって一発目の花ということもあり、お正月や桜の花よりも”1年のスタート感”を強く感じます。
この記事を書いているのは2月末。まもなく今年のうめまつりも開催されます。
西日本など温かい地域ではもう散り始める場所もあるかと思いますが、これからが見頃、またはちょうど今が見頃だよ、という地域の方はぜひお近くで梅の花が楽しめる場所へ行ってみてください。
新年度、新生活が始まる前の『梅のお花見』で気持ちよく今年度を締めてみてははいかがでしょうか。
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最後に
結局最後になってしまいましたが、「梅は松より下なの?」問題について。
調べると『松竹梅』という言葉は、縁起がよいものとして松、竹、梅という順序で徐々に広まっていったというだけで、もともとは優劣がないようです。
また松竹梅で梅が下のようなイメージになったのは、お寿司屋さんの気遣いが始まりだという説も。ステキなお話ですね。
「松竹梅に優劣なし!みんなちがって、みんないい!」
結論、今回のまとめとしてもの申すとしたらこれでしょうか。
田上町は『竹』も大事な推しの一つですので本当に優劣がつけられません……よろしければ別記事も、ぜひ。
皆さんは松竹梅に推しは居ますか?(だいぶ無茶な質問ですね)
今年もヤマグチはまちの『梅』をたっぷり楽しもうと思います。
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今回は、食べてもよし、見てもよしなまちの特産品『越の梅』についてご紹介しました。引き続き、ヤマグチが得た田上町のモノ・コト・ヒトを少しづつ発信、共有していこうと思います。
もしお時間ありましたら他の記事や町のHP・SNSなども覗いて頂けたら幸いです。
田上町について、お時間を割いて下さりありがとうございました。
地域おこし協力隊のヤマグチがお届けしました。