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こんな竹林?でアスパラガスは育ちます

こんにちは。
田上町 地域おこし協力隊のヤマグチです。

たまにお世話になっている地元密着型スーパーに
気になる張り紙が出ていました。

「カサハラさんのアスパラあります」

ただの「アスパラあります」ではなく名指し。

さすがに無視できず店内の冷蔵ケースを探すと「カサハラさんのアスパラ」と書かれた商品を発見。

お値段も手ごろだったので気になっていた地酒と一緒に購入して帰宅しました。

さっそく晩ごはんの一品として奥さんに追加をねだって実食。

シンプルに茹でアスパラで

「おいしい……っていうかめちゃくちゃ甘い!」

二人ともメインそっちのけで箸が進む進む。

シャクシャクと甘いアスパラを食べながら奥さんに一言。
「よし。カサハラさんに会ってくるわ」

そうして知り合いの農家さん経由で連絡を取り、さっそくお会いできることになりました。

恥ずかしながらスーパーで並ぶアスパラしか知らなかったヤマグチ。

他の野菜とは”ちょっと”異なるアスパラガスの不思議で興味深いお話を、たくさん聞くことができました。


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不思議①:圧倒的ビジュアルのアスパラ畑

「おぉーいらっしゃい」

初めてお会いしたカサハラさんは物腰柔らかく、とても丁寧にお話をしてくださいました。ひとしきりお話をした後に畑にも案内して頂き、そのビジュアルにまずビックリ。

入る前からハウス内が
すごい「モサモサ」しているのが分かる

我慢できずに見出し画像にしてしまいましたが
案内されたハウスの中のアスパラ畑はまるで小さな「竹林」

竹ではありません。アスパラです

太い竹のように見えるのは「親茎」。
この親茎の下に栄養を持った根(地下茎)があり、そこから伸びてくるのが収穫できる部分(若茎)です。

親茎の近くでようやく
よく知ってるアスパラを発見

竹で言うところの笹にあたる部分のフサフサした見た目のこれは、「葉」ではなく「疑葉ぎよう」と呼ばれるもの。

やわらかくて触るときもちいい
実は体にいい成分も含まれているらしい

この疑葉はもちろん光合成をしますが、なんとアスパラは茎でも光合成するとのこと。見た目もですが中身もなかなか変わってますね。


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不思議②:一度植えたら10年採れる

アスパラはユリなどの球根植物と同じく根に栄養を貯める植物。
よって一度植えて定着すると約10年~15年は収穫ができるとのこと。恐るべしアスパラの生命力。

主な収穫時期は新潟ではだいたい4月下旬から5月頃。
この時期は特に成長も早く、1日に10㎝以上伸びることもざらにあり、朝夕2回収穫するそうです。

「今の時期は一通り収穫して帰る頃にはもうちょっと伸びてる」と
笑いながら話すカサハラさん
アスパラ専用のカマ
カマに貼られた黄色いテープが
収穫できる長さの目安


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不思議③:だけど一度植えたら逃げられない

「10年以上も収穫できるなんてめちゃくちゃいいですね!」と興奮してお話を聞いていたヤマグチでしたが、カサハラさんからは冷静な一言が。

「ただ一度植えたら辞めらんねぇから大変なんさ」

ここで注意ですが、この「辞めらんねぇ」は楽しいとか、儲かるなどのポジティブな「辞めらんねぇ」ではなく、辞めたくても辞められない(逃げられない)というネガティブな意味での「辞めらんねぇ」です。

その理由はまず第一に初期投資

1度植えたらその場所で10年以上栽培することになるアスパラ。当然、植える前の土作りも入念に実施するため、初期投資がまぁまぁかかるとのこと。

50㎝ほどの深さまで掘って、土と堆肥を混ぜ込みながら耕すそうなので、周りからは「なんの工事だ?」と思われるぐらいだとか。

そこまでして始めたからには、ちょっとやそっとのことでは中々辞められません。

「10年続けて採算とれるぐらいかなぁ」とカサハラさん
なかなか厳しい現実……

そして第二に病気や害虫により枯れてしまった時のリスク。


「一度枯れるとその場所には7年ぐらい何も植えられないからねぇ」

「え……7年ですか?」

「そう、それくらいはたぶんダメだねぇ。土を全部入れ替えれば大丈夫だけどそれも大変だしねー」

想像以上のリスクに驚きです。

なんでもアスパラに限らず植物は自分たちの繁栄を保つために、他の植物の成長を阻害する「アレロパシー物質」なる成分を土に出しているのだとか。

何年も同じ場所で収穫するアスパラは、特にこの成分の影響を受けやすいらしく、枯れたアスパラの部分にその後何か植えても、他の植物はもちろん、同じアスパラでも上手く育たたないそうです

よって、病気で枯れた(枯れそうな)親茎はすぐに見つけて畑から取り除かないと、次々と他の茎に病気が移り何も植えられない土が増えることに……

初期投資の話を知っていると、そんな話を聞くだけでもドキドキしてしまいます……

路地栽培の畑では雨による跳ね返りで
土が茎がつかないように上部にだけシートを設置
これでかなりの病気を防げるそう



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不思議④:本当は〇いアスパラがおいしい

正解は「本当は太いアスパラがおいしい」でした。

頂いた極太のアスパラ
※ヤマグチの手が小さいわけではありません

ヤマグチも漠然と「太い≒かたそう」というイメージを持っていたアスパラですが、カサハラさん曰く本当は太いアスパラが一番おいしいとのこと。

もちろん実際に頂いた極太アスパラは激ウマでした……
あんなに水分たっぷりで甘いアスパラは食べたことがなかったです。

そもそも太いアスパラは一部のお客さんやお店さんへの予約販売でなくなることがほとんどで、市場や直売所にも出ないそう。
さすが「カサハラさんのアスパラ」です。

畑ではグリーンアスパラと
紫アスパラを栽培
その場でひとかじり
甘みと水分がすごい

採れたて生を食べるとおいしいのはもちろん、根本まで柔らかい。

アスパラが固くなる「木質化」という現象は、基本的に収穫からの時間と保存環境に影響するそうです。
当然、朝採れアスパラをすぐに食べれば「かたい」なんて感想は出るはずもありません。

保存に関しては冷凍はNGで、2℃の冷蔵が鮮度を保つベストとのことですので、ゲットした朝採れアスパラがどうしてもすぐに食べられない場合には”なるはや”で冷蔵庫へ入れておきましょう!


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最後に

「地元の子供向けに食育の活動もしていたんだよ」と言いながら指をさした先には園児からのメッセージが書かれた、たくさんの画用紙が貼られていました。

子供たちからの愛称は「アスパラのおじさん」

ある説明会がきっかけでアスパラ栽培をスタートしたというカサハラさん。

10数年やってきた実績があっても、「まだまだだから」と日に焼けたお顔を笑顔にして話す姿は非常に眩しかったです。

・・・

今回は、まちのアスパラ農家カサハラさんに教えて頂いたアスパラの色々をご紹介しました。引き続き、ヤマグチが得たモノ・コト・ヒトを少しづつ発信、共有していこうと思います。

もしお時間ありましたら他の記事や町のHP・SNSなども覗いて頂けたら幸いです。

田上町について、お時間を割いて下さりありがとうございました。
地域おこし協力隊のヤマグチがお届けしました。


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今後もnoteを通して、小さなまちの小さなお話をお届けできればと思います。


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