まちの山が「インクに採用される」くらい綺麗なのでご紹介します
こんにちは。
田上町 地域おこし協力隊のヤマグチです。
皆さんのまちにはハイキングや軽登山などができる山が近くにありますか?
コロナ禍に入って再び“アウトドア”や“キャンプ”などの単語をよく聞くようになってもう数年。「幼いときに学校行事で登ったきり」なんていう方や「毎週末登るほどお気に入りの山がある」などなど、人によって様々かと思います。
ヤマグチはと言うと、山に関しては本当に語るべきこともない程度のお付き合いしかありませんでした。おそらく同じ質問をされたら「年に1回登るか登らないか、ぐらいですかねー」みたいな全く話が広がらない回答をすると思います。
ところが田上町に移住してきて状況は一変し、ハイシーズンとなる初夏には月に4,5回出かけることも。
まちのシンボル的な山「護摩堂山」は標高が低く、気軽に登れるだけでなく四季折々の美しい景色も楽しめるまちの大事な観光スポットです。
「ヤマグチさん!護摩堂山のインクが発売されたので取材してみると面白いかも!」
そう教えてくれたのは親しくしてくださっているまちの書道家さんでした。
まちの山「護摩堂山」
護摩堂山はヤマグチが住む田上町とその隣町の五泉市をまたがるように位置する標高274mの山です。
頂上までは約40分と、初めての山登りにも最適な山で、お子さまからお年寄りまで様々な方たちが年間を通じて登山を楽しんでいます。
頂上からの景色はというと……気軽に登れるからと侮るなかれ。
山頂の広場からは蒲原平野に広がる田園風景、そして角田山、弥彦山から佐渡ヶ島まで見通せる素晴らしい景色が広がります。
また地元の方たちを中心に「早朝ハイキング」なるものも長年開催されています。朝6時に"山頂に"集合してラジオ体操をするという夜型人間にはなかなか厳しいイベントですが、ヤマグチも何度か参加させていただきました。
こちら↓で別に記事にしていますのでお時間ありましたらぜひ。
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見所はあじさいと夕景
手軽に登れることもあってか、まちの方たちにとっても身近な存在の護摩堂山。
そしてこの山が一番賑わうのが6月中旬ごろからの初夏。山頂の「あじさい園」を中心に約3万株はあると言われるあじさいが咲き誇ります。
ヤマグチも初めて山頂に広がるあじさいを見た時には「これは町の発信担当として外せない!」と興奮したことを覚えていますが、実はその数週間前に同じ護摩堂山の山頂から見た「夕景」の方が、美しく、圧倒されたのが正直な気持ちでした。
あじさいが咲き始める少し前。蒲原平野に広がる田んぼに水が入り始める時期はまだ苗が低いこともあり、日本海に沈む夕日が水面を反射し、息を吞むような絶景を見ることができます。
山を信仰の対象とする地域も多くあると聞きますが、こういった景色を目の前にすると、なんだか手を合わせたくなる気持ちもわかる気がします。
撮影時山頂に集まっていた登山客も、辺りが暗くなってくると会話も少なくなり、みんなジッと日本海に向かって沈む夕日を、ただただ見つめていたのが印象的でした。
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護摩堂山がインクになった
あじさいの時期も終わってしばらく経った頃。例年にない猛暑の新潟でヒーヒー言っていたヤマグチのX(エックス)に、地元の書道家さんからメッセージが届きました。
「こんなインクが販売されるそうです!」
添付されていたスクショを見るとそこには”護摩堂山をモチーフにしたインクを販売”という投稿が。これはもう「こんなインクが販売されるので会いに行きなさい!」と言われているようなものです。
「お話伺いたいっすね!」と返信してから書道家さんのフォローもあり、すぐに店舗の方とお会いできることに。こうやって昨日までは想像もしなかったジャンルの方と出会えるのが協力隊の面白いところです。
護摩堂山インクを制作、販売されていたのは新潟県十日町市創業の株式会社滝沢印刷さん。印刷、文具やOA事務機などのオフィス業務に関わることに加え、企画やブランディングなど会社業務を一式まるごと請け負ってデザインしているという企業さんです。
そして今回、護摩堂山がインクとして仲間入りしたのは滝沢印刷さんのオリジナルブランドである「雪彩」というボトルインクシリーズ。このシリーズは新潟県内の名所、ご当地アイテム、グルメ等をインクで表現するという、なんとも楽しそうなコンセプトの商品。新潟の”大切にしたいふるさとの宝たち”として護摩堂山をチョイスしてくださった滝沢印刷の皆さまに、まずは感謝です!
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少し雨がぱらつく取材当日。
今回、お話を聞くためにお会いしたのは新潟市内にある店舗「文具館タキザワ小針店PENBOX」の小日山さん。
入店後、早速カウンター内にいらっしゃった小日山さんに「初めましてー!今日はよろしくお願いします!」とご挨拶。事前のメールでのやりとりもとても丁寧な対応をしてくださっていたので安心していましたが、そのイメージ以上のニコニコ対応で迎えてくださいました。
「これ、今回お会いするにあたってインクを作るまでに至った経緯とかまとめておいたので!帰ったあとにカンニングペーパーとして使ってください!」
そう言って渡して下さったのは、A4にびっしりとまとめられたメモ、そしてパンフレットや会社資料などがたっぷりと入ったクリアファイルでした。準備にもぬかりありません……
以下、小日山さんから頂いた資料より抜粋です。
今回制作、販売されたのは「護摩堂山あじさい園-朝霧-」と「護摩堂山あじさい園-夕映え-」の2種類。護摩堂山からの夕景押しのヤマグチとしては”夕映え”というネーミングをチョイスするあたり、個人的にも文句なしの100点満点です。
2019年に誕生した雪彩シリーズですが、期間限定色として発売されたインクの中でも「護摩堂山あじさい園」は異例の速さで完売したとのこと。店舗販売分に至ってはわずか2日ほどでなくなってしまったという話だったので、「再販しようか」というお話も出ているとか。まちのシンボルである護摩堂山(のインク)が、多くの方の家で今も楽しんでもらえていると思うと嬉しい限りです。
「新潟ってどこに行ってもおいしいものがあるし、どこに行っても美しいものがたくさんあるじゃないですか?」
「そういったものをインクで表現して、そして買って頂いた方たちが今度は実際にその場所へ旅行したり、楽しんだりしてもらえたら最高じゃないですか?」
少し話しただけで、小日山さんは本当に愛を持って仕事に取り組んでいるんだなと伝ってきます。「お店に来た方みんな、5分でも10分でも、買う買わないに限らず楽しんで帰ってもらいたい」という小日山さんは、店内BGMも客層や時間帯に合わせて変えているとのこと。もはや仕事を仕事と思っていないのではないかと思うくらいの素晴らしいエンターテイナーです。音楽やゲームなど共通の趣味があると判明すると更にトークは盛り上がり、あっという間に30分以上が経ってしまいました。
たっぷりとお話させていただいたにも関わらず「これ、ヤマグチさんへのお土産なので。ぜひ使ってください!」と言って、最後にはなんと護摩堂山あじさい園のインクまで頂いてしまうという始末。ちょっとエンターテイナーが過ぎて申し訳なくなるレベルです……
そんな素敵なサプライズを受けたら「これはデビューするしかない」とその場でガラスペン購入を決意。ウン千円はするんだろうなと思っていたら、今は1,000円からでも始められるそうで、内心ホッとしながら小日山さんおススメのガラスペンを購入させていただきました。
小日山さん、本当にありがとうございました!
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最後に
家に帰ってからさっそくインクと買ったばかりのガラスペンを開封して試し書きにチャレンジ。
「う……けっこう紙に引っかかるな……」
「ペン先を当てる角度によって太さがかなり変わるな」
「どのタイミングでインクを足せばいいんだ?」
この手探り感。久々に感じる思ったようにうまくいかない感じ。
「お、この色はインスタに載せたあの写真の色に似てるかも」と、記憶にある色に近づけようと色を塗り重ねたり、薄めてみたり……
「あじさい描いていい?」
「いいよー。護摩堂山も描いてみて」
途中からは同じくガラスペン初挑戦の奥さんも一緒になって、あーじゃないこーじゃないと文字を書いたり、絵を描いてみたりと、しばらくインク遊びに夢中になってしまいました。
登って楽しむだけだった護摩堂山から、また新たな遊びを教えてもらった気がします。
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今回は、まちのシンボルでもある護摩堂山、そして滝沢印刷さんによって制作されたインクをご紹介しました。引き続き、ヤマグチが得た田上町のモノ・コト・ヒトを少しづつ発信、共有していこうと思います。
もしお時間ありましたら他の記事や町のHP・SNSなども覗いて頂けたら幸いです。
田上町について、お時間を割いて下さりありがとうございました。
地域おこし協力隊のヤマグチがお届けしました。